付値環

Last-modified: Sun, 25 Jun 2017 13:06:21 JST (2495d)
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ここでは環の付値と関係の深い概念である「付値環」について紹介します。ただし付値環付値の関係については「付値体」という概念を導入した後に説明するので、ここではまだ述べないことにします。

定義1(付値環の定義)
\( V \)付値環(valuation ringまたはVR)であるとは、\( V \)が整域でありかつ任意の\( (c_i)_{i \in 2} \in V^2 \)に対して\( c_0 \in V c_1 \)または\( c_1 \in V c_0 \)が成り立つということである。

付値環自明(trivial)であるとは体であるということで、逆に非自明(non-trivial)であるとは自明でないということです。任意の体は自明な付値環をなします。非自明な付値環の中で特に重要なものとして「離散付値環」というものがあります。

定義2(離散付値環の定義)
\( V \)離散付値環(discrete valuation ringまたはDVR)であるとは、\( V \)付値環であり、かつある全射\( \nu \colon V \setminus \{ 0_V \} \twoheadrightarrow \mathbb{N} \)が存在して任意の\( (c_i)_{i \in 2} \in (V \setminus \{ 0_V \})^2 \)に対して\( c_0 \in V c_1 \)\( \nu(c_1) \leq \nu(c_0) \)が同値であるということである。

ただしここで\( \leq \)は自然数の通常の大小関係とします。離散付値環が非自明な付値環であることは容易に分かります。それでは非自明な付値環の例を見てみましょう。

演習3(付値環に関する演習)
(1) \( \mathbb{Z} \)付値環をなさないことを示せ。
(2) \( p \)を素数とする。分母が\( p \)と互いに素であるような分数表示を持つ有理数の全体からなる部分環\( \mathbb{Z}_{(p)} \subset \mathbb{Q} \)が離散付値環をなすことを示せ*1
(3) \( p \)を素数とする。\( \mathbb{Z}_p \)が離散付値環をなすことを示せ*2
(4) \( k \)を体とする。1変数多項式環\( k[X] \)付値環をなさないことを示せ。
(5) \( k \)を体とし、\( p \)\( k \)の元とする。分母が\( X-p \)と互いに素であるような分数表示を持つ\( k \)係数1変数有理関数の全体からなる部分環\( k[X]_{(X-p)} \subset k(X) \)が離散付値環をなすことを示せ*3
(6) \( k \)を体とし、\( p \)\( k \)の元とする。\( p \)を中心とする\( k \)係数1変数形式冪級数環\( k[ [ X-p ] ] \)が離散付値環をなすことを示せ*4

まずは付値環のイデアル論的特徴付けを行います。

命題4(付値環の特徴付け)
\( V \)付値環である必要十分条件は、\( V \)が整域でありかつ\( V \)のイデアル全体が包含関係について全順序集合をなすことである。

証明

まず\( V \)付値環であるとする。この時\( V \)は整域である。\( V \)のイデアル全体が包含関係について全順序集合をなすことを示す。関係の例(2)から包含関係は半順序をなす。\( J_0 \)\( J_1 \)\( V \)のイデアルとし、\( J_1 \subset J_0 \)でないと仮定する。\( J_0 \subset J_1 \)であることを示す。\( c_0 \in J_0 \)とする。\( J_1 \subset J_0 \)でないので、ある\( c_1 \in J_1 \setminus J_0 \)が存在する。\( c_1 \notin J_0 \)かつ\( V c_0 \subset J_0 \)より、\( c_1 \notin V c_0 \)である。\( V \)付値環であることから、\( c_0 \in V c_1 \)である。以上より、\( J_0 \subset V c_1 \subset J_1 \)である。従って、\( V \)のイデアル全体が包含関係について全順序集合をなす。

次に\( V \)が整域でありかつ\( V \)のイデアル全体が包含関係について全順序集合をなすとする。\( V \)付値環をなすことを示す。\( (c_i)_{i \in 2} \)とする。イデアルの包含関係の全順序性より、\( V c_0 \subset V c_1 \)または\( V c_1 \subset V c_0 \)が成り立つ。\( V c_0 \subset V c_1 \)ならば\( c_0 \in V c_1 \)であり、\( V c_1 \subset V c_0 \)ならば\( c_1 \in V c_0 \)である。従って、\( V \)付値環である。

付値環が環としてとても良い性質を持つことを説明するために、環に関するいくつかの基本概念を導入します。

定義5(局所環の定義)
\( R \)局所(local)であるとは、\( R \)がただ1つの極大イデアルを持つということである。
 
定義6(単項イデアル整域の定義)
\( R \)単項イデアル環(principal ideal ring)であるとは、\( R \)の任意のイデアルが単項イデアルであるということである。整域であるような単項イデアル環を単項イデアル整域(principal ideal domainまたはPID)と呼ぶ。
 
定義7(ベズー環の定義)
\( R \)ベズー(Bézout)であるとは、\( R \)の任意の有限生成イデアルが単項イデアルであるということである。
 
定義8(ネーター環の定義)
\( R \)ネーター(Noetherian)であるとは、\( R \)の任意のイデアルが有限生成であるということである。

定義からすぐ分かることとして、環が単項イデアル環である必要十分条件はベズーかつネーターであることです。任意の体は単項イデアル整域になります。体でないような単項イデアル整域の例を確認しましょう。

演習9(単項イデアル整域に関する演習)
(1) \( \mathbb{Z} \)が単項イデアル整域であることを示せ*5
(2) \( k \)を体とする。\( k \)係数1変数多項式環\( k[X] \)が単項イデアル整域になることを示せ*6
(3) \( k \)を体とする。\( k \)係数2変数多項式環\( k[X,Y] \)がベズーでないことを示せ*7
(4) 「任意の環\( R \)と任意の\( p \in R \)に対し、\( p \neq 0_R \)かつ\( p \notin R^{\times} \)ならば、\( R \)係数1変数多項式環\( R[X] \)の有限生成イデアル\( R[X] \{ p, X \} \)が単項イデアルでない」という命題が証明可能ならば証明し、反証可能ならば反証せよ。

(2)と(3)により、体係数1変数多項式環は単項イデアル整域になりますが体係数2変数多項式環は単項イデアル整域にならないことが分かります。このことから、単項イデアル整域はある意味で「次元が1以下」であるというイメージが出来ます*8。それでは上で導入した諸概念と付値環の関係を調べましょう。

命題10(付値環が局所ベズー整域であること)
\( V \)付値環とする。この時\( V \)\( V \setminus V^{\times} \)が唯一の極大イデアルであるような局所環であり*9、かつベズー整域である。

証明

\( V \)付値環とする。\( m := V \setminus V^{\times} \)と置く。\( m \)\( V \)の唯一の極大イデアルであることを示す。

\( V \)は整域なので、\( 0_V \notin V^{\times} \)である。すなわち\( 0_V \in m \)である。

\( (c_0,c_1) \in V \times m \)とする。\( c_1 \notin V^{\times} \)より\( c_0 c_1 \notin V^{\times} \)である。すなわち\( c_0 c_1 \in m \)である。

\( (c_i)_{i \in 2} \in m^2 \)とする。\( V \)付値環なので、\( c_0 \in V c_1 \)または\( c_1 \in V c_0 \)が成り立つ。\( c_0 \in V c_1 \)ならば\( c_0 + c_1 \in V c_1 \subset m \)であり、\( c_1 \in V c_0 \)ならば\( c_0 + c_1 \in V c_0 \subset m \)である。従っていずれの場合も\( c_0 + c_1 \in m \)である。以上より、\( m \)\( V \)のイデアルである。

\( 1_V \in V^{\times} \)より、\( 1_V \notin m \)である。従って\( m \)は真イデアルである。

\( J \)\( V \)の真イデアルとする。任意の\( c \in J \)に対し、\( V c \in J \)かつ\( 1_V \notin J \)より、\( c \notin V^{\times} \)である。従って\( J \subset m \)である。以上より、\( m \)\( V \)の包含関係について最大の真イデアルであり、特に唯一の極大イデアルである。すなわち、\( V \)は局所環である。

\( V \)がベズーであることを示す。そのための準備として、任意の自然数\( k \)に対し「濃度\( k \)の任意の部分集合\( S \subset V \)に対し、\( V S \)が単項イデアルである」、ということを\( k \)に関する数学的帰納法で示す。濃度\( 0{} \)の部分集合\( S \subset V \)は空集合に限られ、\( V S = \{ 0_V \} = V 0_V \)である。濃度\( k \)の任意の部分集合\( S \subset V \)に対し、\( V S \)が単項イデアルであると仮定する。部分集合\( S \subset V \)を濃度\( k + 1 \)とする。\( k + 1 > 0 \)より、ある\( c \in S \)が存在する。\( S \setminus \{ c \} \)の濃度は\( k \)であるので、\( V (S \setminus \{ c \}) \)は単項イデアルである。\( V c' = V (S \setminus \{ c \}) \)を満たす\( c' \in V (S \setminus \{ c \}) \)を取る。\( V S = V \{ c, c' \} \)である。\( V \)付値環なので、\( c \in V c' \)または\( c' \in V c \)が成り立つ。\( c \in V c' \)ならば\( V \{ c, c' \} = V c' \)であり、\( c' \in V c \)ならば\( V \{ c, c' \} = V c \)である。従っていずれの場合も\( V S \)は単項イデアルである。以上より、任意の自然数\( k \)に対し、濃度\( k \)の任意の部分集合\( S \subset V \)に対し\( V S \)が単項イデアルである。

\( J \subset V \)を有限生成イデアルとする。\( J \)を生成する有限部分集合\( S \subset J \)を取る。\( \# S \)\( k \in \mathbb{N} \)と置く。\( S \subset V \)は濃度\( k \)の部分集合であるので、\( V S = J \)は単項イデアルである。以上より、\( V \)はベズーである。

命題11(離散付値環の特徴付け)
\( V \)に対し、以下は同値である:
(1) \( V \)は離散付値環である。
(2) \( V \)は非自明付値環であり、かつ単項イデアル整域である。
(3) \( V \)は非自明付値環であり、かつネーターである。

証明

\( V \)が離散付値環であるとする。\( V \)は非自明付値環である。\( V \)が単項イデアル整域であることを示す。全射\( \nu \colon V \setminus \{ 0_V \} \twoheadrightarrow \mathbb{N} \)であって、任意の\( (c_i)_{i \in 2} \in (V \setminus \{ 0_V \})^2 \)に対して\( c_0 \in V c_1 \)\( \nu(c_1) \leq \nu(c_0) \)が同値であるものを取る。\( J \subset V \)をイデアルとする。\( J = \{ 0_V \} \)ならば\( J \)は単項イデアル\( V 0_V \)である。\( J \neq \{ 0_V \} \)とする。\( J \setminus \{ 0_V \} \neq \emptyset \)より、\( \nu(J \setminus \{ 0_V \}) \neq \emptyset \)である。自然数が順序数であることから、\( \nu(J \setminus \{ 0_V \}) \)\( \leq \)に関する最小元\( n \)を持つ。\( \nu(c) = n \)を満たす\( c \in J \setminus \{ 0_V \} \)を取る。任意の\( c' \in J \)に対し、\( c' = 0_V \)ならば\( c' \in V c \)であり、\( c' \neq 0_V \)ならば\( \nu(c) = n \leq \nu(c') \)より\( c' \in V c \)である。従って\( J = V c \)である。以上より、\( V \)は単項イデアル整域である。

\( V \)が非自明付値環でありかつ単項イデアル整域であるとする。\( V \)の任意のイデアルは単項イデアルであり、特に有限生成である。従って\( V \)はネーターである。

\( V \)が非自明付値環でありかつネーターであるとする。\( V \)が離散付値環であることを示す。付値環が局所環であることより\( V \)はただ1つの極大イデアル\( m \)を持つ。\( V \)がネーターであることと付値環がベズー整域であることから\( V \)は単項イデアル整域である。従って、ある\( \varpi \in m \)が存在して\( V \varpi = m \)であり、またある\( \epsilon \in \bigcap_{n \in \mathbb{N}} V \varpi^n \)が存在して\( V \epsilon = \bigcap_{n \in \mathbb{N}} V \varpi^n \)である。\( V \varpi = m \)が極大イデアルであることから\( \varpi \notin V^{\times} \)である。\( \varpi = 0_V \)と仮定すると、\( \{ 0_V \} = V \varpi = m \)\( V \)の極大イデアルとなり、体と極大イデアルの関係より\( V \)が体となってしまい、これは\( V \)が非自明付値環であることに反し矛盾する。従って\( \varpi \neq 0_V \)である。

\( \epsilon = 0_V \)となることを示す。\( \epsilon \in \bigcap_{n \in \mathbb{N}} V \varpi^n \subset V \varpi \)より、ある\( \epsilon' \in V \)が存在して\( \epsilon' \varpi = \epsilon \)である。\( \epsilon' \in V \epsilon \)となることを示す。\( n \in \mathbb{N} \)とする。\( \epsilon \in V \varpi^{n+1} \)よりある\( c \in V \)が存在して\( c \varpi^{n+1} = \epsilon \)となる。\( (\epsilon' - c \varpi^n) \varpi = \epsilon' \varpi - c \varpi^{n+1} = \epsilon - \epsilon = 0_V \)となる。\( V \)が整域でありかつ\( \varpi \neq 0_V \)であることから、\( \epsilon' - c \varpi^n = 0_V \)である。従って\( \epsilon' = c \varpi^n \in V \varpi^n \)である。以上より\( \epsilon' \in \bigcap_{n \in \mathbb{N}} V \varpi^n = V \epsilon \)である。

\( u \epsilon = \epsilon' \)を満たす\( u \in V \)を取る。\( (u \varpi - 1_V) \epsilon = u \varpi \epsilon - \epsilon = \epsilon' \varpi - \epsilon = 0_V \)である。\( V \)が整域であることと\( \varpi \notin V^{\times} \)から、\( \epsilon = 0_V \)となる。以上より、\( \bigcap_{n \in \mathbb{N}} V \varpi^n = V \epsilon = V 0_V = \{ 0_V \} \)である。

任意の\( c \in V \setminus \{ 0_V \} \)に対し、\( c \notin \{ 0_V \} = \bigcap_{n \in \mathbb{N}} V \varpi^n \)より\( \{ n \in \mathbb{N} \mid c \notin V \varpi^{n+1} \} \)は空でなく、自然数が順序数であることから\( \leq \)に関する最小元\( n_c \)を持ち、\( c \in V V 1_V = V \varpi^0 \)であることから、\( n_c \)\( \{ n \in \mathbb{N} \mid c \in V \varpi^n \} \)\( \leq \)に関する最大値でもある。写像\( V \setminus \{ 0_V \} \to \mathbb{N}, \ c \mapsto n_c \)\( \nu \)と置く。

\( \nu \)が全射であることを示す。\( n \in \mathbb{N} \)とする。任意の\( i \in n \)に対し\( \varpi^n \in V \varpi^{i+1} \)であるので\( \nu(\varpi^n) \geq n \)である。\( \varpi^n \in V \varpi^{n+1} \)と仮定すると、\( c \varpi^{n+1} = \varpi^n \)を満たす\( c \in V \)が存在するが、\( (c \varpi - 1) \varpi^n = c \varpi^{n+1} - \varpi^n = 0_V \)となり、これは\( V \)が整域であることと\( \varpi \notin V^{\times} \)\( \varpi \neq 0 \)に反し矛盾する。従って\( \varpi^n \notin V \varpi^{n+1} \)である。以上より\( \nu(\varpi^n) = n \)である。すなわち\( \nu \)は全射である。

\( (c_i)_{i \in 2} \in (V \setminus \{ 0_V \})^2 \)とする。\( c_0 \in V c_1 \)\( \nu(c_1) \leq \nu(c_0) \)が同値であることを示す。まず\( c_0 \in V c_1 \)とする。\( c_0 \notin V \varpi^{\nu(c_0) + 1} \)かつ\( c_0 \in V c_1 \)であるので、\( c_1 \notin V \varpi^{\nu(c_0) + 1} \)である。従って\( \nu(c_1) \leq \nu(c_0) \)である。次に\( \nu(c_1) \leq \nu(c_0) \)とする。この時\( (c_i)_{i \in 2} \in (V \varpi^{\nu(c_1)})^2 \)であり、従ってある\( (c'_i)_{i \in 2} \in V^2 \)が存在して\( c'_0 \varpi^{\nu(c_1)} = c_0 \)かつ\( c'_1 \varpi^{\nu(c_1)} = c_1 \)が成り立つ。また\( c'_1 \varpi^{\nu(c_0)} = c_1 \notin V \varpi^{\nu(c_1) + 1} \)より、\( c'_1 \notin V \varpi = m \)である。付値環の極大イデアルの性質から\( m = V \setminus V^{\times} \)であり、よって\( c'_1 \in V^{\times} \)である。従って、\( c_0 = c'_0 \varpi^{\nu(c_1)} = c'_0 (c'_1)^{-1} c'_1 \varpi^{\nu(c_0)} = c'_0 (c'_1)^{-1} c_1 \in V c_1 \)である。以上より、\( c_0 \in V c_1 \)\( \nu(c_1) \leq \nu(c_0) \)が同値である。すなわち\( V \)は離散付値環である。

以上で付値環の導入を終わります。ここまでで扱った付値環の例は全て自明付値環か離散付値環でしたが、それ以外の付値環の例はここでは扱わないことにします。それでは次に「付値体」という概念を通じて、付値付値環の関係を調べていきましょう。

  • 付値



*1 離散付値環の定義に現れる&mathjax{\nu};の構成には、分子が&mathjax{p};で何回割れるかを用いると良いです。ただしここまでで選択公理が課されていないため、代表元の取り方によらない定義であることを確認する必要があります。
*2 離散付値環の定義に現れる&mathjax{\nu};の構成には、&mathjax{p};で何回割れるかを用いると良いです。
*3 離散付値環の定義に現れる&mathjax{\nu};の構成には、適切に分数表示した上で分子が&mathjax{X-p};で何回割れるかを用いると良いです。ただしここまでで選択公理が課されていないため、代表元の取り方によらない定義であることを確認する必要があります。
*4 離散付値環の定義に現れる&mathjax{\nu};の構成には、&mathjax{X-p};で何回割れるかを用いると良いです。
*5 &mathjax{\{ 0_{\mathbb{Z}} \} = \mathbb{Z} 0_{\mathbb{Z}}};であるので&mathjax{\{ 0_{\mathbb{Z}} \}};でない任意のイデアル&mathjax{J \subset \mathbb{Z}};が単項イデアルであることを示せばよく、そのためには&mathjax{J};の&mathjax{0_{\mathbb{Z}}};でない元のうち絶対値が最小なものが&mathjax{J};を生成すること、つまり&mathjax{n 1_{\mathbb{Z}} \in J};を満たす&mathjax{0{}};でない最小の自然数&mathjax{n};に対して&mathjax{J = \mathbb{Z} n 1_{\mathbb{Z}}};となることを示せば良いです。
*6 &mathjax{\{ 0_{k[X]} \} = k[X] 0_{k[X]}};であるので&mathjax{\{ 0_{k[X]} \}};でない任意のイデアル&mathjax{J \subset k[X]};が単項イデアルであることを示せばよく、そのためには&mathjax{J};の&mathjax{0_{k[X]}};でない元のうち次数が最小な元が&mathjax{J};を生成することを示せば良いです。
*7 有限生成イデアル&mathjax{k[X,Y] \{ X, Y \}};が単項イデアルでないことを示せば良いです。
*8 ここでは扱いませんが、一般の環に対して「クルル次元」というものが定義され、体係数多項式環のクルル次元は変数の個数と一致し、「クルルの単項イデアル定理」と呼ばれる定理によって単項イデアル環はクルル次元が1以下であることが知られています。
*9 一般に環&mathjax{R};に対して、&mathjax{R \setminus R^{\times}};が&mathjax{R};のイデアルであるならば&mathjax{R};は&mathjax{R \setminus R^{\times}};が唯一の極大イデアルであるような局所環をなし、逆に&mathjax{R};が局所環であるならば選択公理の下で&mathjax{R \setminus R^{\times}};が&mathjax{R};の唯一の極大イデアルとなります。ここでは選択公理を課さずに&mathjax{V \setminus V^{\times}};が唯一の極大イデアルであることが従います。