第7章 圏・環・体

Last-modified: Sat, 07 Jan 2017 10:52:03 JST (1792d)
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整数や\( p \)進数の持つ性質の多くは、「環」や「体」という概念を用いて簡潔に説明することが出来、また環や体の一般的な性質を調べることで整数や\( p \)進数の性質を知ることが出来ます。数学の多くの分野においても同様に、具体的な対象の持つ性質を調べるために、それを抽象化・一般化した概念の性質を調べるという手法が取られます。抽象化・一般化は単に適用範囲の広い理論を与えるだけでなく、概念や性質や証明や演繹関係をより明確に記号化出来るという利点があり、近代的な数学の根幹を支える手法となっております。

また全く関係がないように見える2つの数学分野において、そこに現れる諸概念やそれらに関する性質が、何故か似たような関係(例えば概念同士の包含関係や性質同士の強弱関係等)を持つことがあります。その状況を良く観察してみると、その背景には記号化された概念や性質や証明や演繹関係が形式的に結び付いているという現象が確認されることがあります。

そういった、「似通った状況」の記号化に役立つ1つの道具として、「圏」という概念が数学の幅広い分野で使われており、また圏そのものを興味の対象として研究する分野もあります。圏は「わざわざ使わなくても良い便利なだけの道具」に過ぎない状況も多いですが、「使うことで飛躍的に論理構造の単純化を可能にする道具」であることも確かです。Encyclopedia of \( P \)-adic Numbersでも部分的に圏を用いた記述を与えることで、\( p \)進数の体系的な説明を加えていこうと思います。