2元集合の存在

Last-modified: Mon, 17 Apr 2017 22:09:38 JST (1692d)
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ここまでで空集合という集合が存在することが保証されました。しかし、現在課されている公理だけでは空集合以外の集合の存在が原理的に証明出来ません。そこで、空集合以外の集合の存在を保証する公理を1つ課そうと思います。

公理1(対公理)
2つの任意の集合\( a \)\( b \)に対し、クラス\( \{ x \mid (x = a) \vee (x = b) \} \)は集合である。

対公理によって集合であることが保証されるクラス\( \{ x \mid (x = a) \vee (x = b) \} \)\( a \)\( b \)からなる2元集合(pair)と呼び、\( \{ a, b \} \)と略記します。それでは2元集合の表記が可換であることを証明してみて下さい。

演習2(2元集合の可換性の演習)
2つの任意の集合\( a \)\( b \)に対し、\( \{ a, b \} = \{ b, a \} \)が成り立つ。

既に論理式の同値性と集合の等号の関係を自分で証明して理解している人は、単に「\( \vee \)の可換性より」と述べればよいです。そうでない人は、クラスが等しいということの定義外延性公理に戻って丁寧に証明して下さい。

次に、\( a \)\( b \)が等しい場合の2元集合\( \{ a, a \} \)を'\( a \)のみからなる1元集合(singleton)と呼び、\( \{ a \} \)と略記します。更に手慣らしとして、1元集合が次の意味で元々の集合を「覚えている」ということを証明してみて下さい。

演習3(1元集合の基本性質の演習)
2つの任意の集合\( a \)\( b \)に対し、以下は同値である:
(1) \( a = b \)
(2) \( \{ a \} = \{ b \} \)

さて、対公理によって空集合ではない集合の存在が保証されました。

命題4(空集合でない集合の存在)
以下の集合はいずれも互いに相異なる。
\( \emptyset, \{ \emptyset \}, \{ \{ \emptyset \} \}, \{ \{ \{ \emptyset \} \} \}, \{ \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \} \)

証明

\( \emptyset \notin \emptyset \)かつ\( \emptyset \in \{ \emptyset \} \)より、\( \emptyset \neq \{ \emptyset \} \)である。

\( \{ \emptyset \} \notin \emptyset \)かつ\( \{ \emptyset \} \in \{ \{ \emptyset \} \} \)より、\( \emptyset \neq \{ \{ \emptyset \} \} \)である。

\( \{ \{ \emptyset \} \} \notin \emptyset \)かつ\( \{ \{ \emptyset \} \} \in \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \)より、\( \emptyset \neq \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \)である。

\( \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \notin \emptyset \)かつ\( \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \in \{ \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \} \)より、\( \emptyset \neq \{ \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \} \)である。

演習3\( \emptyset \neq \{ \emptyset \} \)より、\( \{ \emptyset \} \neq \{ \{ \emptyset \} \} \)である。

演習3\( \emptyset \neq \{ \{ \emptyset \} \} \)より、\( \{ \emptyset \} \neq \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \)である。

演習3\( \emptyset \neq \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \)より、\( \{ \emptyset \} \neq \{ \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \} \)である。

演習3\( \{ \emptyset \} \neq \{ \{ \emptyset \} \} \)より、\( \{ \{ \emptyset \} \} \neq \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \)である。

演習3\( \{ \emptyset \} \neq \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \)より、\( \{ \{ \emptyset \} \} \neq \{ \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \} \)である。

演習3\( \{ \{ \emptyset \} \} \neq \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \)より、\( \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \neq \{ \{ \{ \{ \emptyset \} \} \} \} \)である。

この辺りがスラスラと厳密に証明できるようになっていれば、等号の扱いに問題がないと言って良いでしょう。

  • 和集合の存在
  • 条件式の定める部分集合の存在
  • 共通部分の定義
  • 自然数の定義